ウィーン、至宝の物語。
広大な領地を支配下に収め、神聖ローマ帝国を代々世襲するなど、ヨーロッパの歴史の表舞台で常に脚光を浴びてきたハプスブルク家。同家の人々はまた、絵画や工芸品、武具などからなる豊かなコレクションを築いたことでも知られています。ウィーン美術史美術館はハプスブルク家のコレクションを受け継いだ美術館のひとつとして知られますが、オーストリアと日本の国交樹立150周年を記念する本展では、同館の協力のもと、世界屈指と言われるハプスブルク家のコレクションをご紹介します。同家の個性豊かな人物たちを紹介しつつ、蒐集の歴史をたどり、コレクターごと、時代ごとにその個性や傾向を浮き彫りにしていくことが本展の特色です。
【ハプスブルク家とは】
ライン川上流域の豪族として頭角を現し、十三世紀末にオーストリアに進出。以後、同地を拠点に中東欧、ネーデルラント、スペインなどに支配を広げ、カール5世(1500-58)の時代には中南米やアジアにも領土を獲得し、「日の沈まない世界帝国」を築き上げた。十五世紀以降、神聖ローマ帝国の皇帝位を代々世襲。ナポレオン戦争による神聖ローマ帝国解体後は、後継のオーストリア帝国の皇帝となった。第一次世界大戦後に、帝国が終焉を迎えるまで、数世紀にわたり広大な領土と多様な民族を統治したヨーロッパ随一の名門家。